多摩市立図書館本館基本計画(素案)への意見(花谷) パブコメ

「知の地域創造」という理念を実現する上で図書館がどのようなものになるのかは市民にとって唯一の関心事である。
「多摩市立図書館本館再整備基本計画」(素案)を見ると「中核を担う」「知るを支援する」「知の広場となる」のような言葉が踊っているが市民にとって具体的に何ができるところなのかの言及がない。
例えば自習ができる「自習室」として使って良いのか、市民がリラックスしてお茶を飲みながら話せる居場所「リビングルーム」として使って良いのか、ビジネス情報なども提供されつつ時には商談の場として使える「オフィス」として使って良いのか、更にはいろんな実験道具(3Dプリンタや高度なアプリケーションソフト)が整備されて市民の創作を支援してくれるところとなるのかである。
6/30日の説明会には市民の居場所としての図書館やコ・ワーキングの例なども紹介された。
本当にこのような図書館を目指し、そこに「知の地域創造」を込めるのであれば、そのコンセプトを明示して欲しい。例えば上記の例でいうのであれば
「新しい図書館のコンセプトは「自習室」であり「リビングルーム」であり「オフィス」であり「実験室」である。」という具合にである。
あるいは、もし伝統的な図書館の機能を逸脱するものでないのであれば 「新しい図書館の目的は蔵書の設置場所と図書館業務の効率化と強化である。」ということなのかである。
本素案の計画の優先順位は①充実した開架②交流できる広場③バックヤードの充実 とある。また「多摩市の図書館のめざすもの」には機能刷新としてのサービス提供側の都合と多様な出会いの創出程度のことしか書かれていない。
これからすると、今回の新しい図書館の目的は後者のようにも推察できる。もしそうであるならば「知の地域創造」という理念をどこで実現するのか? まさか「多様な出会いの創出」と「パルテノン多摩との連携」が「知の地域創造」の全てではあるまい。
いずれにしても コンセプトや目的を明確にしない限り、この基本計画がプロポーザルの要件書にはなり得ない。
基本計画策定委員長のお言葉では新しい機能に対して何を優先するかは市民が決めるべきとのことであった。その通りであると思う。
ここのところを明確にした上で再度、市民に差し戻して欲しい。目的やコンセプトとを市民と共有しない限り市民の間で不満が残る結果となることを危惧する。
因みに近年のIT技術の進展やアマゾンにみる書籍の流通革命をみると図書館が単に資料の提供場所だけの機能で良いとは思わない。公共施設としてのこれからの図書館の役割を明確にしない限り投資に見合う判断ができない。

Share on Facebook

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。